相次ぐ国内のランサムウェア被害:会社のファイルを社内に置くリスクと、最初にやるべき対策

2026/11/03 書き

日本のサイバー被害が、過去最悪のペースで増えています。警察庁が2026年9月に公表した統計では、2026年上半期のランサムウェア被害報告は123件と、統計開始以来、半期では過去最多でした。その約6割は中小企業で、被害組織の6割は調査・復旧に総額1,000万円以上を要しています。2026年10月にはクラウド事業者のIDCフロンティアがランサムウェア攻撃を受け、495の企業・自治体に影響が及びました。狙われるのは大きな会社だけではありません。防御が一番薄いところから狙われているのです。

一、なぜ「社内に置いたファイル」から真っ先にやられるのか。ランサムウェアが探しているのは、一度に全部のファイルを暗号化できる場所です。社内のファイルサーバーやNASはまさにそれで、全社のファイルが1台の機器、同じ社内ネットワークに集まっています。パソコン1台、アカウント1つが突破されれば、攻撃者はネットワーク内を横移動し、サーバーのファイルをまとめてロックできます。しかも、こうした機器は常時電源が入り、ネットにつながりながら、ファームウェアの更新は後回しにされがちです。ファイルが社内に無ければ、この「一網打尽」の単一障害点そのものが消えます。

二、VPNは金庫ではありません。それ自体が、インターネットに開いた扉です。「VPNがあるから安全」と思われがちですが、警察庁の統計では、ランサムウェアの侵入経路の約半数はVPN機器でした。VPNは社内ネットワークをインターネットに直接つなぐ仕組みで、世界中の攻撃者からスキャンされ、ログインを試されます。機器の脆弱性が放置されていたり、社員のパスワードがフィッシングで漏れたりすれば、VPNは防御線から侵入口へと変わります。扉を大きく開けるほど、守らなければならない攻撃面は広がります。

多層防御の図:IP制限が外部からのログイン試行を止め、OTPが本人確認をし、ファイルは暗号化してクラウドに保管。一方、社内サーバーとVPNは攻撃に直接さらされる

三、CloudFilesの第一の防御線は「IP制限」です。CloudFilesのセキュリティの順序は明確です。まず、扉の外で止める。IP制限を有効にすると、本社や店舗など、あらかじめ登録した固定IPアドレスからしかログインできません。攻撃者が海外からパスワードを何度試そうとしても、万が一パスワードが漏れていても、ログイン画面にすらたどり着けないのです。VPNとの違いは方向にあります。VPNは「外から社内へ入る」ための扉、IP制限は「自分たちの場所からだけクラウドへつなぐ」仕組みです。そしてファイル自体は社内に無いので、社内のパソコンが暗号化されても、クラウド上のファイルが巻き込まれることはありません。

四、第二の防御線は、パスワードに加えるOTPです。登録した場所以外からログインする必要がある場合も、パスワードだけに頼りません。CloudFilesはOTP(ワンタイムパスワード)に対応しており、ログイン時にはパスワードに加えて、その場で発行される認証コードの入力が必要です。パスワードを見られても、フィッシングで漏れても、コードが無ければ中には入れません。さらに内側にも防御があります。通信はすべてSSL/TLSで暗号化し、ファイルはAES-256で暗号化して保管します。誰が・いつ・どのファイルを見て、ダウンロードしたかというアクセスログは5年間保存され、万一のときも追跡できます。

正直にお伝えしておく例外が一つあります。WebDAVでクラウドをドライブとしてマウントする場合、その接続ではOTPが使えません。だからこそWebDAVを使う場合は、第一の防御線であるIP制限を必ず有効にし、パスワードも十分に強くしてください。設定手順はWebDAV実装編にまとめています。通信の暗号化と保存の暗号化の違いについては、SSL暗号化とは?の記事が一番分かりやすく解説しています。

セキュリティは、事故が起きてから買う保険ではなく、ファイルを預ける先を選ぶときに最初に確認すべき仕様です。CloudFilesは年額NT$3,000から、ユーザー数は無制限です。まずは1か月の無料トライアルで、一番大事なフォルダーを移し、IP制限とOTPを有効にして、「ファイルが社内に無い」という安心を確かめてみてください。

国内ランサムウェア被害件数が年々増え、過去最多を更新する様子を表したグラフ